ラジカル塗料の特徴とメリット・デメリット | 費用相場も他の塗料と比較して解説

ラジカル塗料は外壁や屋根に使われる塗料のなかでも耐久性が高く、コストパフォーマンスのよい塗料です。
一般的な住宅に使用されるシリコン塗料と同等の価格ながら耐久性の高いフッ素塗料と同程度の耐久性を持っています。
また、ラジカル塗料は様々な下地に塗装が可能なので、幅広く利用することができます。
2012年から発売されたため、まだ一般的ではありませんがメーカーも力を入れている注目の塗料です。
この記事では、ラジカル塗料の特徴や費用相場などを他の塗料と比較しながらお伝えします。
メリット・デメリットだけでなく、おすすめのメーカーまで説明するのでぜひ最後まで確認しましょう。

ラジカル塗料とは
ラジカル塗料とは、劣化因子であるラジカルを制御する塗料(ラジカル制御型塗料)です。
塗料の主成分にラジカルが含まれている塗料ではありません。
ラジカル塗料は外壁塗装でもっとも使われている「シリコン塗料」と同等の価格ながらフッ素塗料のように耐久性が高く性能が優れている特徴があります。
ラジカル塗料の主成分
ラジカル塗料に使われている主成分の樹脂は製品によって異なります。
- 日本ペイントのラジカル塗料「パーフェクトトップ」の主成分はアクリル樹脂
- エスケー化研のラジカル塗料「プレミアムシリコン」の主成分はシリコン樹脂
これまでの塗料は主成分の違いが塗料の特徴・価格・メリット・デメリットに繋がりましたが、ラジカル塗料は違います。
ラジカル塗料は従来の塗料に特殊な成分を配合することで、主成分が持っていたデメリットをなくした高耐久な塗料です。
他の塗料と比較するとラジカル塗料のグレードはシリコン塗料とフッ素塗料の中間に位置します。
外壁・屋根塗装の塗料グレード
アクリル樹脂塗料<ウレタン樹脂塗料<シリコン樹脂塗料<ラジカル塗料<フッ素樹脂塗料
ラジカル塗料の仕組み
ラジカル塗料の「ラジカル」とは、塗料に含まれる酸化チタンが酸素や紫外線に接触することで発生する劣化因子のことです。
ラジカルは主に塗膜が白い粉上になるチョーキング現象(白亜化)を引き起こします。
ラジカル塗料は正式には「ラジカル制御型塗料」といい、配合されている高耐候酸化チタンが劣化因子のラジカルを内側に閉じ込める塗料です。
また、塗料のなかには光安定剤も含まれておりラジカルの発散を抑えています。
そのため、ラジカル塗料は高耐候酸化チタンと光安定剤、2つの成分によりチョーキングが起きにくく耐候性の高い塗膜をつくることができるのです。
ラジカル塗料の3つのメリット

ラジカル塗料は安価ながら耐用年数が長く、メンテナンスコストが削減できるので、長期的な目で見たときに塗り替えの回数も少なくお得な塗料です。
ラジカル塗料のメリットは以下の3つです。
ラジカル塗料のメリット
- コストパフォーマンスが高い
- チョーキングが起きにくい
- さまざまな下地と相性が良く壁材を選ばない
それぞれ説明していきます。
1.コストパフォーマンスが高い
ラジカル塗料のメリットの1つ目は「コストパフォーマンスが高い」ことです。
ラジカル塗料は高品質・高機能であるフッ素塗料と同程度の耐久性を持ちつつ、フッ素塗料より1,000円/㎡以上安い塗料です。
塗料は主成分が新しくなるなど高機能な塗料になると単価が高くなることが一般的でした。
しかし、ラジカル塗料の場合は既存の主成分に含まれる劣化因子を抑えた塗料のため、機能が上がっても価格が大きく変わりません。
ラジカル塗料は高機能ながら値段が抑えられているところが大きな魅力です。
なお、ラジカル塗料の耐用年数と費用相場に関してはラジカル塗料の価格・耐用年数【他の塗料と比較】の章で解説します。
2.チョーキングが起きにくい
ラジカル塗料のメリットの2つ目は「チョーキングという塗膜の劣化現象が起きにくい」ことです。
そのため、ラジカル塗料の場合は白色や淡色で外壁を塗装しても塗膜が劣化しにくく、ツヤを長持ちさせることができます。
チョーキング現象を放置すると白い粉が浮き出るだけでなくコケやカビが発生し、外壁の劣化が進行してしまいます。
チョーキングを抑えることでひび割れや水漏れの発生も抑えられるので、ラジカル塗料は外壁の劣化防止にも効果があります。
3.さまざまな下地と相性が良く壁材を選ばない
ラジカル塗料のメリットの3つ目は「さまざまな下地と相性が良く壁材を選ばない」ことです。
そのため、サイディングやモルタル・コンクリート、木部やアルミなどさまざまな外壁材の上に塗装をすることが可能です。
高機能な塗料の場合、下地にも相性があるため使用できない場合もあります。
しかしラジカル塗料の場合は下地との相性がよく塗りやすい塗料のため、壁材を選ばず塗装をすることができるメリットがあります。
ラジカル塗料のデメリットは施工事例が少ないこと
ラジカル塗料のデメリットは他の塗料に比べると知名度が低く施工事例が少ないことです。
2012年以降にできた新しい塗料のため扱っている業者も少なく、ラジカル塗料を使いたくても断られてしまう場合があります。
また耐用年数である12年を超えた家もないので、実際の性能が他の塗料に比べて分かりにくいです。
ラジカル塗料を使用したい場合は、ラジカル塗料での施工実績がある業者を選ぶのが大切です。
ラジカル塗料の価格・耐用年数【他の塗料と比較】
塗料の種類 | 平米単価 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 1,000円~1,500円/㎡ | 4年~7年 |
ウレタン塗料 | 1,700円~2,200円/㎡ | 6年~10年 |
シリコン塗料 | 2,300円~3,300円/㎡ | 8年~15年 |
ラジカル塗料 | 2,700円~3,600円/㎡ | 12年~15年 |
フッ素塗料 | 3,600円~4,700円/㎡ | 15年~20年 |
ラジカル塗料の価格相場
ラジカル塗料の価格は、1㎡あたり2,700円~3,600円が相場です。
一般的な戸建て住宅30坪に施工した場合80万円程度と、一般的に使われているシリコン塗料と大きくは変わりません。
ただし耐用年数が12年~15年と長く塗り替えの頻度が少なくて済むため、シリコン塗料よりコストパフォーマンスに優れる塗料です。
ラジカル塗料の耐用年数
ラジカル塗料は耐久性に優れており、耐用年数は12年~15年です。
価格はシリコン塗料と同等ながら耐用年数はフッ素塗料の次に長い高耐久の塗料です。
耐用年数が短いと価格も安くなりますが定期的な塗り替えが必要になるため、塗料を選ぶ際は価格の安さだけでなく耐用年数も考慮して選ぶのが大切です。
ラジカル塗料とシリコン塗料の主な違いは「価格」と「耐用年数」と「耐候性」です。
単価自体はシリコン塗料の方が安いものの、耐用年数を考慮した時のコストパフォーマンスはラジカル塗料が優れています。
ラジカル塗料は新しい塗料のため施工事例が少ないのがデメリットですが、メーカーも力を入れている塗料です。
一般塗料とラジカル制御型塗料とで悩んだ場合は、一度見積もりを出してから比較するのがおすすめです。
ラジカル塗料のおすすめ大手メーカー

ラジカル塗料は日本の三大塗料メーカーとして知られている日本ペイント、エスケー化研、関西ペイントに加え、海外の会社であるアステックペイントから発売されている製品が主流です。
ラジカル塗料のおすすめ大手メーカーの製品を比較しましょう。
メーカー | 製品名 | 価格相場 | 主成分の樹脂 |
---|---|---|---|
日本ペイント | パーフェクトトップ | 3,200円~/㎡ | アクリル系 |
エスケー化研 | エスケープレミアムシリコン | 2,600~3,000円/㎡ | シリコン系 |
関西ペイント | アレスダイナミックTOP | 3,300円~/㎡ | シリコン系 |
アステックペイント | 超低汚染リファイン | 3,200円~/㎡ | シリコン系(フッ素系もあり) |
日本ペイント「パーフェクトトップ」
現在一番使われているオーソドックスなラジカル塗料が「パーフェクトトップ」です。
2012年と最初に誕生したラジカル塗料のため、ラジカル塗料のなかでもっとも有名な塗料です。
他のラジカル制御形塗料は主成分にシリコンが使われていますが、パーフェクトトップはアクリルです。
ツヤの種類も艶消しから、3分ツヤ、5分ツヤ、ツヤありの4種類から選ぶことができます。
パーフェクトトップには水性塗料だけでなく油性塗料もあり、サイディング・モルタルの外壁や、木部・鉄部などにも幅広く塗装が可能です。
ラジカル塗料のなかでも一般的なものを使用したい場合は選択肢が多いパーフェクトトップがおすすめです。
エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」
外壁塗料のシェアNO.1のエスケー化研から2015年に出たラジカル塗料が「エスケープレミアムシリコン」です。
名前にある通り、主成分にシリコン系を使用しているところが日本ペイントのパーフェクトトップとの大きな違いです。
主成分がシリコンのため、パーフェクトトップより防汚性に優れ汚れが付着しにくいです。
ただしツヤの種類は3分ツヤ、5分ツヤ、ツヤありの3種類で艶消しはありません。
ラジカル塗料のなかではトータルコストがもっとも優秀なので、ラジカル塗料のなかでもより性能を求める方におすすめです。
関西ペイント「アレスダイナミックTOP」
関西ペイントから2016年に出たラジカル塗料が「アレスダイナミックTOP」です。
エスケー化研のプレミアムシリコンと同じく主成分にシリコン系を使用しているところが日本ペイントのパーフェクトトップとの大きな違いです。
ダイナミックトップが他のラジカル塗料と異なる点は「強化剤」が入っているとこです。
強化剤が入っていることで多少の雨や湿度の高いところでも塗装できます。
アレスダイナミックTOPは雨が降っていても塗装したい人におすすめです。
主成分はシリコンのため、プレミアムシリコンと同じくパーフェクトトップより防汚性に優れ、汚れが付着しにくい塗料です。
ツヤの種類は3分ツヤ、5分ツヤ、7分ツヤ、ツヤありの4種類で艶消しはありません。
アステックペイント「超低汚染リファイン」
日本のメーカーではなくオーストラリアのメーカーですが、アステックペイント社の「超低汚染リファイン」も有名なラジカル塗料です。
「超低汚染リファイン」は塗料に遮熱機能もついているところが他のラジカル塗料との大きな違いです。
遮熱機能をラジカル塗料での塗装で行えるのは他の塗料にはない性質のため大きなメリットです。
主成分はシリコンのため、パーフェクトトップより防汚性に優れ汚れが付着しにくいです。
ツヤの種類は3分ツヤ、ツヤありの2種類で艶消しはありません。
外壁・屋根の塗料は耐久性や耐候性の他にも「水性か溶剤」「低汚染性」「防カビ性」「色や艶の種類」などさまざまな種類・機能・特徴で見ることができます。
塗り替える際には、どのような機能がご自宅に必要なのか考えましょう。
ラジカル塗料を使用する場合は大手のメーカーのものを使用しましょう。
なぜならラジカル塗料は2010年代と作られて間もなく、耐用年数を超えて塗り替えを行っている家がないからです。
また、塗装で失敗しないためにも信頼できる塗装業者に相談するのが大切です。
まとめ
それでは「ラジカル塗料」についてポイントをおさらいしましょう。
この記事のまとめ
- ラジカル塗料とはラジカルと呼ばれる劣化因子を制御する塗料のこと
- 塗料の主成分は製品によって異なるが、高機能でコストパフォーマンスが高い塗料
- ラジカル塗料の価格相場は2,700円~3,600円/㎡
- ラジカル塗料の耐用年数は12年~15年と一般的な塗料であるシリコン塗料より長い
- ラジカル塗料は他の塗料に比べると一般的ではないので、施工実績のある業者に依頼する
ラジカル塗料は住宅用の塗料である「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」のなかでシリコン塗料とフッ素塗料の間のグレードになります。
コストパフォーマンスに優れ、チョーキングも起きにくく、シリコン塗料より高機能な塗料ですが、施工実績が少なく一般的な塗料ではありません。
ラジカル塗料か他の塗料かで悩んだ場合は、どちらの見積もりも出してもらい検討しましょう。
「ラジカル塗料」に不安が残る人は、ラジカル塗料での施工実績がある業者に一度相談してみることをオススメします。
