アクリル塗料の特徴とメリット・デメリット | 価格相場も解説

アクリル塗料は外壁や屋根に使われる塗料のなかで、価格が一番安いものの耐久性が悪い塗料です。
ひと昔前までは住宅の塗装に使用されてきましたが、今は外壁や屋根の塗装には使用されなくなっています。
しかし、室内の塗装やDIYの塗装など、紫外線や雨風の耐久性を求められない場所の塗装にはおすすめです。
この記事では、「アクリル塗料」を検討している方に向けて、アクリル塗料の特徴や費用などをお伝えします。
メリット・デメリットだけでなく、注意すべき点や高耐久性の「ピュアアクリル」についても説明するので、ぜひ最後まで確認しましょう。

アクリル塗料の特徴
アクリル塗料とは、塗料の主成分が合成樹脂で、その樹脂にアクリルが含まれている塗料のことです。
外壁塗装でもっとも使われている「シリコン塗料」や「ウレタン塗料」と比べると安価ですが、耐久性が低く、コストパフォーマンスが悪い塗料です。
一番グレードが低く安価な塗料のため20年以上前は主流でしたが、他の塗料の単価が安くなるにつれ使用されなくなりました。
今では「シリコン塗料」や「ウレタン塗料」といったコストパフォーマンスの高い塗料が一般的に使われています。
アクリル塗料が外壁塗装に使われるケースとしては新築の場合があげられます。
新築の家は新しい材木などが使われているため、どのような塗料でもひび割れを起こす可能性があるからです。
その場合、高価な塗料を使用しているともったいないため、塗り替えを前提としてアクリル塗料使用する場合があります。
アクリル塗料は屋内など使いどころを考えれば効果を発揮しますが「単価が一番安いから」という理由では選ばないようにしましょう。
アクリル塗料のメリット
アクリル塗料のメリットは以下です。
アクリル塗料のメリット
- 他の塗料に比べ価格が安い
- カラーバリエーションが豊富にある
- 素人にも扱いやすい
ひとつずつ説明していきます。
他の塗料に比べ価格が安い
アクリル塗料の一番のメリットは単価相場が1,000円~1,500円/㎡と価格が安いことです。
塗料は「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ラジカル」「フッ素」の順にグレードが高くなり、価格も比例しています。
現在一般的に使われるシリコン塗料の価格相場は2,300円~3,300円/㎡なので、アクリル塗料の場合半分に抑えることができます。
ただし、アクリル塗料は価格が安い分、耐用年数が短いため、安さだけでは選ばないようにしましょう。
カラーバリエーションが豊富にある
アクリル塗料は他の塗料より、色の種類が豊富というメリットがあります。
かつては主流な塗料だったこともあり、各塗料メーカーから様々な種類が販売されています。
そのため、初心者でも好きな塗料を選んだり混ぜ合わせるなど、自分好みに仕上げることができます。
素人にも扱いやすい
アクリル塗料はほとんどが1液型と呼ばれる塗料のため扱いやすいというメリットがあります。
耐久性は劣りますが、混合の手間がかからず余った分の塗料も使用することができるため、DIYに向いている塗料です。
また、旧塗膜がアクリル塗料の場合はシーラーレス(下塗りなし)でも塗装できるものがあるため、重ね塗りの手間もかかりません。
塗膜が劣化している場合は注意が必要ですが、アクリル塗料は素人にも扱いやすいというメリットがあります。
アクリル塗料のデメリット
アクリル塗料のデメリットは以下です。
アクリル塗料のデメリット
- 耐用年数が4年~7年と劣化が早い
- 塗膜が硬くひび割れが起きやすい
- 塗り替えのサイクルが短く手間もかかる
- 湿気が入りやすい
- 屋根用のアクリル塗料は大手メーカーにはない
ひとつずつ説明していきます。
耐用年数が4年~7年と劣化が早い
アクリル塗料のデメリットは耐用年数が4年~7年と短く劣化が早いことです。
塗料は「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ラジカル」「フッ素」の順にグレードが高くなり、アクリル塗料はこのなかで一番下の塗料です。
一般的に使われるシリコン塗料の耐用年数は8年~15年のため、アクリル塗料の場合は塗り替え頻度が2倍になります。
アクリル塗料は単価が安いため塗装費用は抑えられますが、劣化が早く他の塗料より塗り替え頻度が高くなるのがデメリットです。
塗膜が硬くひび割れが起きやすい
アクリル塗料は塗膜が硬いため、ひび割れが起こりやすいというデメリットがあります。
アクリル塗料は柔軟性を与えるための可塑剤(かそざい)が添加されていますが、この可塑剤は時間とともに抜けていきます。
可塑剤が抜け、柔軟性が失われると塗装面にひび割れが起きてしまいます。
他の塗料でもひび割れが起こる可能性はありますが、アクリル塗料の場合は耐久性も低いので、ひび割れによる劣化も大きいのがデメリットです。
塗り替えのサイクルが短く手間もかかる
アクリル塗料は耐久性が低く、耐用年数が4年~7年と短いです。
そのため他の塗料に比べて塗り替えのサイクルが短く、定期的な塗り替えコストと手間がかかります。
一回ごとにかかる塗装費用が安くても、頻繁な塗り替えが必要になる塗料です。
長い目で見たときにコストパフォーマンスが悪くなるため、安いからと言ってアクリル塗料を選ぶのはおすすめしません。
湿気が入りやすい
アクリル塗料は浸透性が良い塗膜なので、外部の湿気が入りやすいこともデメリットです。
室内の湿気を外部に逃がことも出来るのですが、逆に外部の湿気も室内に通してしまいます。
アクリル塗料は湿気が多い環境には向いていないので注意が必要です。
屋根用のアクリル塗料は大手メーカーにはない
屋根用のアクリル塗料は大手メーカー(日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研)から販売されていません。
なぜなら屋根には非常に高い耐久性が求められますが、アクリル塗料では耐えることができないからです。
他のメーカーから出ていたとしても、屋根はすぐに劣化してしまうためアクリル塗料を使用しないのがおすすめです。
また、屋根の塗装と外壁の塗装を合わせて行うことで割り引く業者もあるため、アクリル塗料を検討している場合は他の塗料での見積もりも確認しておきましょう。
アクリル塗料の価格・耐用年数【他の塗料と比較】
塗料の種類 | 平米単価 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 1,000円~1,500円/㎡ | 4年~7年 |
ウレタン塗料 | 1,700円~2,200円/㎡ | 6年~10年 |
シリコン塗料 | 2,300円~3,300円/㎡ | 8年~15年 |
ラジカル塗料 | 2,700円~3,600円/㎡ | 12年~15年 |
フッ素塗料 | 3,600円~4,700円/㎡ | 15年~20年 |
アクリル塗料の価格相場
アクリル塗料の価格は、1㎡あたり1,000円~1,500円が相場です。
一般的な戸建て住宅30坪に施工した場合50万円程度と、一般的に使われるシリコン塗料の半分に抑えることができます。
ただし耐用年数が4年~7年と短く頻繁に塗り替えが必要になるため、長く住み続ける住宅であればコストパフォーマンスが悪い塗料です。
アクリル塗料の耐用年数
アクリル塗料は耐久性が弱く、耐用年数は4年~7年です。
現在主流であるシリコン塗料の場合は耐用年数が8年~15年、ウレタン塗料の場合でも6年~10年あるため、アクリル塗料の場合は塗り替え頻度が2倍程度かかります。
コストパフォーマンスを考え、塗料を選ぶ際は価格の安さだけでなく耐用年数も確認して選ぶのが大切です。
アクリル塗料のおすすめ大手メーカー
アクリル塗料は現在、日本の三大塗料メーカーとして知られている日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研、それぞれから発売されています。
製品名 | 価格 | 用途 |
---|---|---|
ニッペ 水性ケンエースグロス(日本ペイント) | 1840円~/㎡ | 内・外壁面 |
アレスアクアグロス(関西ペイント) | 1,400円~/㎡ | 内・外壁面 |
水性コンポアクリル(エスケー化研) | 1,350円/㎡ | 内・外壁面 |
フッ素塗料、シリコン塗料、ウレタン塗料、と同じくアクリル塗料もなるべく大手のメーカーのものを使用しましょう。
とくに訪問販売などで「自社で開発した塗料」を勧められた場合は、きちんと口コミや評判を確認するのが大切です。
安いから失敗してもやり直せばいいと思われるかもしれませんが、外壁材を傷ませる要因にもなるので、塗料は信頼できる業者と一緒に決めましょう。
「ピュアアクリル」はアクリル塗料でも高耐久性の塗料
アクリル塗料は耐久性・耐候性が低く安価な塗料ですが、「ピュアアクリル塗料」は一番グレードの高いフッ素塗料と同等の15年以上の耐用年数があります。
ピュアアクリル塗料とは
ピュアアクリル塗料とはアステックペイントが販売する極力不純物を入れないアクリル塗料です。
アクリル塗料の欠点である不純物を取り除くことで、本来のアクリルの耐久性や耐候性を発揮させています。
ピュアアクリル塗料は樹脂そのものが弾性を持つため、長期期間伸縮性を保持することができひび割れが起こりにくい特徴があります。
水族館などにも使用される高品質な塗料ですが、まだ一般的な住宅用には普及されていません。
塗料の質を求める場合は、ピュアアクリル塗料より大手メーカーが作る「シリコン塗料」や「フッ素塗料」を使用する方が信頼性が高く安心です。
まとめ
それでは「アクリル塗料」についてポイントをおさらいしましょう。
この記事のまとめ
- アクリル塗料とは、塗料の主成分が合成樹脂で、その樹脂にアクリルが含まれている塗料のこと
- ひと昔前までは住宅で使用されていたが、今は質が高い「シリコン塗料」や「ウレタン塗料」が安くなりほぼ使用されていない
- アクリル塗料の耐用年数は4年~7年と耐久性が低く劣化しやすい
- アクリル塗料の価格相場は1,000円~1,500円/㎡と塗料のなかで一番安い
- アクリル塗料はメンテナンスの手間やコストがかかっても、安く工事を行いたい人にはおすすめ
- 長期的に見るとアクリル塗料より「ウレタン塗料」「シリコン塗料」の方がコストパフォーマンスがよくおすすめ
アクリル塗料は住宅用の塗料である「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」のなかで一番下のグレードになります。
安価ですが、耐久性が低く塗り替え頻度も高いため、アクリル塗料を検討する際は他の塗料での見積もりも出して考えるのが大切です。
少しでも「アクリル塗料」に不安が残るかたは、アクリル塗料での施工実績がある業者に一度相談してみることをオススメします。
