シロアリの成虫が持つ特徴と黒アリとの見分け方

シロアリという名前を知らない人はほとんどいないのでしょう。
広く一般に知られているシロアリですが、その生態や特徴を詳しくご存じの方は少ないと思います。
シロアリは、大切な我が家に被害をもたらしかねない脅威の昆虫だと、やみくもに恐れる必要はありません。
シロアリへの理解を深めることで、いざというときに適切な対応がとることが出来ます。
今回は、シロアリの成虫が持つ特徴と合わせて、クロアリとシロアリの違いについても説明しています。
ぜひ参考にしてみてください。
シロアリの成虫の特徴と大きさ
シロアリは、分類学上は「ゴキブリ目シロアリ科」に属するゴキブリの仲間です。
不完全変態卵から幼虫をへて成虫へと変態する「不完全変態」なので、幼虫と成虫にはほぼ差はありません。
そんな白蟻の成虫の変わった特徴は以下の2点です。
- 数珠状の触覚
- 植物の繊維を好む
以下で詳しく説明します。
シロアリの成虫の見た目は特徴的
シロアリの見た目は、数珠状の触覚が特徴的です。
また、胸部の幅がやや狭いものの、寸胴の体形をしています。
4枚ある翅(はね)の全てがほぼ同じ大きさであるのも、シロアリの特徴のひとつといってよいでしょう。
また、日本のシロアリ被害は、ヤマトシロアリとイエシロアリで99%を占めるといわれます。
それぞれの成虫の体長は、ヤマトシロアリが4.5~7.5mm、イエシロアリは6.5~8.5mmです。
シロアリの成虫は植物の繊維を食べる
シロアリが好んで食べるのは植物の繊維質です。
また、木材だけでなく、コンクリートや断熱材を食べることもあります。
建物の木材やコンクリートに大きな食害を与えると、建物のゆがみや倒壊といった事態を引き起こしかねません。
水回り中心に被害を与えるヤマトシロアリと異なり、イエシロアリの場合は、地上から屋根裏までに被害が及びます。
木造ばかりでなくコンクリート造の建物まで被害を免れません。
シロアリの成虫の階級と役割

シロアリの社会では、アリ以上の役割分担が行われ、強いカースト社会が敷かれています。
こうして得た社会性が原因でシロアリは大きな進化を遂げ、ゴキブリの140倍以上もの種に分化するまでに繁栄しました。
巣を最初に作り始めたオスとメス1対の成虫を、シロアリの女王・王と呼びます。
女王はその後産卵を続け、巣の繁殖能力を一手に担います。
また、巣の中で最も多いのが、労働階級である働きアリです。
エサを集めたり、巣を拡大したり、育児したりといった役割を担い、セルロースを消化する器官があります。
特殊なことに、働きアリの中から、成虫へと分化できるものと、分化できないものに分かれるのです。
防衛の役割を担うのが兵アリというものも存在します。
通常は働きアリから変化し、巣を防衛する個体と敵を攻撃する個体に分かれるのです。
シロアリの成虫(羽アリ)に生長する前段階を「ニンフ」と呼びます。
ニンフは、働きアリとして活動しつつ、翅芽(しが)を成長させ、羽アリへと変わるのです。
女王や王がいなくなると、働きアリやニンフなどが女王や王の役割を担えるよう変化するため、シロアリ駆除では消毒を徹底する必要があります。
シロアリの成虫はアリではない
シロアリの成虫は、働きアリが分化した羽アリです。
クロアリと姿かたちが似ていて、同じように集団生活をするので、クロアリの仲間だと間違える方も多いでしょう。
そんな誤解に基づいて、シロアリ(白いアリ)と名づけられたようです。
人間からは害虫とされていますが、自然界においては、セルロースの分解を行う大切な存在。
世界には2,000種以上ものシロアリが存在するといわれており、日本にはそのごく一部(13種)のシロアリが存在しています。
こうしたシロアリと黒アリの違いとして以下があります。
シロアリ | 黒アリ | |
---|---|---|
属性 | ゴキブリ目シロアリ科 | ハチ科 |
成長過程 | 不完全変態 | サナギ |
主食 | 木材 | 肉食 |
また、黒アリはシロアリを食べることもあり、種そのものが違うのです。
シロアリとクロアリとの違いと見分け方

シロアリとクロアリは、一見とても似ていますが、見た目でもしっかり区別できるだけの特徴があります。
まず、その見た目の違いを頭に入れておき、羽アリの大量発生などに際して、より適切な処置をすることが大切です。
シロアリの特徴
シロアリの場合は、その触覚が数珠状になっていることが大きな特徴です。
胸部の幅がやや狭いものの、寸胴の体形で、4枚の翅(はね)がほぼ同じ大きさ。
これは、クロアリと見分けるためのポイントになります。
また、シロアリという名前から羽アリも白いかと考えるかもしれませんが、シロアリの羽アリは、黒色です。
クロアリの特徴
羽を広げて飛行している状態を見ることで、クロアリかシロアリかを判別することができます。
羽アリの体の色ではなく、触覚や体形、羽の形から判断するようにしましょう。
クロアリは、触覚が「くの字」状をしています。
細くくびれた腹部の付け根や、4枚の翅のうち上2枚が下2枚より大きいことも、シロアリとの大きな違いです。
シロアリと黒アリの見分け方については、羽蟻がすべてシロアリではない?羽蟻の種類と見分け方にも記載があります。
併せて参考にしてみてください。
シロアリの種類とそれぞれの違い
日本では、シロアリ被害が多く発生していますが、そのほとんどがヤマトシロアリとイエシロアリによるものです。
ヤマトシロアリの特徴
ヤマトシロアリの分布はほぼ全国的なもので、北海道北部だけが例外として存在しません。
活発な時期として、4~5月にかけての時期に羽アリが飛翔します。
ヤマトシロアリが水回り付近(流し台やふろ場など)を中心に生息するのは、自身で水を運ぶことができないためです。
巣をつくることもなく、小さな集団を組んで移動します。
体長は4.5~7.7mmで、頭部が黒褐色。身体は黄色で、羽が暗褐色です。
イエシロアリの特徴
中部地方以西の太平洋側や四国、九州の沿岸部などで多く生息しているのがイエシロアリです。
6~7月にかけて羽アリが飛翔し、地中に巣をつくって大きな群れで定住します。
自身で水を運べるので、木材を湿らせて食べ進めることができ、床下から屋根裏まで被害が及ぶのが特徴。
体長は6.5~8.5mmで、東部が褐色で身体が橙黄色。淡黄色で透明な羽です。
何らかの形で上記のシロアリの存在を確認したときは、その種類に応じた駆除方法をとらなければなりません。
そのためにも、シロアリの専門業者への相談をおすすめします。
シロアリの種類については、以下の記事も併せて参考にしてみてください。
シロアリの種類を見分ける!種類別の駆除方法を紹介
まとめ
羽アリが屋内で大量に発生していると、すぐにシロアリかと思ってしまいます。
しかし、実はクロアリの羽アリも集団で飛行している可能性もあるのです。
シロアリとクロアリはまったく別の虫。
クロアリであれば、さほど問題はありません。
ここでご紹介したシロアリとクロアリの見分け方をもとに、その羽アリを見極めることが大切です。
万が一、シロアリだとわかれば、すぐに専門業者に依頼し、駆除を行ってください。
いざというときのためにシロアリについての知識を蓄えておくことも、大切な自宅を守ることにつながります。