シロアリの天敵となる生物は?駆除や対策に活用できる?

家を食べてあっという間にボロボロにしてしまう、シロアリ。
そんな恐ろしいシロアリも、自然界で生きる生物なので、天敵が存在します。
もしかしたら、天敵をうまく利用すれば、シロアリ対策に役立つかも?とお考えになる方がいるかもしれません。
今回は、シロアリの天敵は何か、天敵をシロアリ駆除に活用できるのかどうか、解説します!
シロアリの天敵一覧
人間から見ると、シロアリは驚くべきスピードで増殖し、家屋への被害を広げていくので、恐ろしいイメージがあります。
しかし、実はシロアリは単体だと、非常に弱い生き物なのです。
弱い衝撃や光に数分当たっただけで死んでしまいます。
他のシロアリたちと集団でコロニーを形成しないと生き延びられないことも特徴です。
シロアリの体は良質なたんぱく質が豊富で、かつコロニー内で数百万体以上の個体が同時に群れているので、昆虫や鳥類などの捕食者から非常に好まれています。
以下で、そんなシロアリを捕食する「天敵」たちをご紹介します
シロアリの最大の天敵は黒蟻(クロアリ)

シロアリの最大の天敵は、黒蟻(クロアリ)です。
意外にも思われるかもしれませんが、シロアリはゴキブリ目に属する生物で、ハチ目に属するクロアリとは全く異なる生き物なのです。
肉食のクロアリは、シロアリを見つけたら集団で捕食します。
クロアリより大きなシロアリだとしても、軽々と持ち上げて捕食してしまいます。
これを聞いた人の中には、「クロアリを床下に放ってシロアリを駆除しよう」と考える方がいるかもしれませんが、少し待ってください。
クロアリを家に放ってしまうと食べ物を求めて家の中に入ってきたり、赤ちゃんやペットに噛みついたりといったクロアリ被害が発生してしまいます。
シロアリ対策のために住宅にクロアリを放つことはやめましょう。
さらに、あるシロアリ専門家によると、自然界ではシロアリとクロアリが同じ木の中に巣をつくることがあるそうです。
一説では、シロアリがその他の外敵から身を守るために、代償としてクロアリに自分たちの体を餌として提供することで、共存を図るそうです。
クロアリの被害や、シロアリとクロアリが共存しうることも考えると、やはりクロアリによるシロアリ駆除は現実的ではありません。
シロアリの天敵はクモやカエル、ツバメなどの生物
シロアリの天敵には、クロアリの他に以下の生物がいます。
- クモ
- カエル
- ツバメ
- トカゲ・ヘビ
- ツチブタ・アリクイ
クモ
肉食性として知られるクモは、シロアリが大好物です。
特に益虫として知られているハエトリグモやアシダカグモなどの活動狩猟型のクモは、シロアリを見つけると積極的に捕食行動に移ります。
一方、巣を張るタイプのクモは、クモの巣に引っかかった羽アリを捕食します。
というのも、羽アリは基本的に、風に流されながら飛行をしているため、クモの巣を回避できないからです。
カエル
ペットショップなどでは、カエルの餌としてシロアリが販売されるほどです。
栄養価が豊富であることと、サイズ的にカエルが捕食しやすいということで、好んで餌として与えられることが多いでしょう。
ツバメ
最近ではなかなか見られない風景になりましたが、ツバメが軒先に巣を作っていると、羽アリを捕食してくれます。
外部から羽アリが侵入するのを防ぐ効果がツバメには期待できます。
トカゲ・ヘビ
カエル同様に、トカゲや蛇の餌としてもシロアリは人気が高いです。
野生のトカゲやヘビも、シロアリがいれば積極的に捕食してくれるでしょう。
ツチブタ・アリクイ
日本には生息していませんが、シロアリを一度に数百匹捕食することで有名な哺乳類です。
アリ塚や朽ちた樹木などに長い舌を突っ込んで、シロアリを舐め取るようにして食べます。
以下に、シロアリの天敵となる生物を表でまとめてみたので参考にしてみてください。
日本での生息数 | ヒトへの無害度 | シロアリへの天敵度 | |
---|---|---|---|
クロアリ | ◎ | △ | ◎ |
クモ | ◎ | ◯(一部毒あり) | ◎ |
カエル | 〇 | ◎ | 〇 |
ツバメ | △ | ◎ | 〇 |
トカゲ | 〇 | ◎ | ◎ |
ヘビ | 〇 | × | ◎ |
ツチブタ・アリクイ | × | ◎ | ◎ |
天敵がいてもシロアリが全滅しない理由

上述の通り、シロアリの天敵は非常に多く、見渡す限り天敵だらけと感じることでしょう。
それならば、勝手に絶滅してくれるのではないか、と思ってしまいがちです。
しかし、実際のところはそのようなことはなく、絶滅することなく私たちの脅威となっています。
シロアリは普段、湿気のある土の中や自分たちで作った蟻道の中で生活しています。
そのため、シロアリそのものが天敵である捕食者の目にとまることはあまりないのです。
あるとすれば、繁殖期に羽アリが飛び立つときぐらいです。
ただ、羽アリが無数に飛び立つといっても、コロニーの中のわずか1%にも満たないほどの少数です。
全体のコロニーの存在を脅かすほどではありません。
また、シロアリの女王は非常に繁殖力が強く、毎日1万個以上の卵を産み落とします。
これによって、多少食べられたとしても、コロニーを維持することができるのです。
シロアリの生態に関しては、下記の2記事も参考にしてみてください。
シロアリの生態と種類を知る!特徴を知って正しい対策を立てよう
シロアリの女王は繁殖力が高い!その生態を紹介
シロアリの生態を理解して対策しよう

上述のように、家に発生したシロアリを、天敵を利用することで駆除することは難しいことがわかりました。
シロアリの被害スピードは非常に早く、1年~数年で家をボロボロにしてしまうので、早急な対策が必要です。
シロアリの生態を理解した、正しい対策をとりましょう。
以下で具体的にご説明します。
業者にシロアリ駆除を依頼するのが最も安心
シロアリの対策をするならばやはりシロアリ駆除業者に依頼するのが一番です。
シロアリは、種類によって生息場所や駆除に使用する薬剤が異なります。
こうしたシロアリの生態を理解したプロでないと、完全に駆除することは難しいです。
薬剤を購入すれば自分で散布できないこともありませんが、慣れない床下での作業でケガをしたり、薬剤を吸い込んでしまったりする危険や、駆除しきれずシロアリを広げることになってしまうリスクを考えると、おすすめはできません。
シロアリのことを熟知した、専門業者に任せるのが最も安心です。
自分でできるシロアリ予防の方法
上述のように、シロアリの駆除をご自身で行うことはおすすめしません。
ただ、シロアリの発生を抑えるための予防対策ならば、ぜひ実行していただきたいことがあります。
それは、「シロアリが好む環境をつくらない」ことです。
具体的には、下記の3点を実行してください。
- シロアリのエサになる木材を置かない
- 建物の基礎まわりの風通しと日当たりをよくする
- 家のまわりに極力荷物を置かない
自然界では主に土の中に生息しているシロアリは、湿気が多く暗い環境を好みます。
ですので、「風通しのよい、明るい環境」をつくることが、シロアリ予防に役立ちます。
また、シロアリは古い木や紙をエサとします。
家の周りに、木材や段ボールなどを放置しないようにしましょう。
上記のような簡単な心掛けで、シロアリを寄せ付けない環境をつくることができます。
ぜひ実行してみてください。
自分でできるシロアリ予防方法に関しては、下記の記事も参考にしてみてください。
シロアリの予防・対策は自分でできる!効果的なdiy方法とおすすめ薬剤
まとめ
シロアリは、自然界では多くの天敵に囲まれています。
しかし、天敵をシロアリ駆除のために活用することは、なかなか現実的ではないことがお分かりいただけたと思います。
シロアリの被害に対しては、専門のシロアリ駆除業者に依頼すること、また簡単なことに気を付けるだけでシロアリを寄せ付けにくい環境を作ることができること、を覚えておいてください。