シロアリ駆除にはベタ基礎?それとも布基礎?工法についてご説明

新築住宅の購入を検討している方の中には、建築物の基礎として効果的なシロアリ対策をお探しの方もいるのではないでしょうか。
中でも「ベタ基礎にすべきか、布基礎にすべきか」の問題については、慎重に検討されているケースが多いでしょう。
確かに、ベタ基礎と布基礎ではシロアリ対策の効果に違いがあり、新築住宅の購入時にはぜひ注目してほしいポイント。
そこで、今回はシロアリ対策にはベタ基礎と布基礎、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
ベタ基礎とは
ベタ基礎とは、建物の床下全体にコンクリートを打つことで、建物の基盤を作る基礎のことです。
床一面を覆うため、地面から上がってくる湿気を防ぎ、シロアリの侵入に役立つと言われています。
日本の建築物においては、このベタ基礎と布基礎が多くで採用されている基礎です。
シロアリはベタ基礎でも発生する
シロアリ対策には、一般的に「ベタ基礎を採用すべき」といった意見が多く見られます。
地中から床下へと侵入するケースが多いシロアリに対して、床下の一面をコンクリートで覆うベタ基礎は、効果的な対策方法であると考えられているからでしょう。
確かに、ベタ基礎であれば地中から床下へ侵入しようとするシロアリをブロックすることができます。
しかし、100%シロアリをブロックすることができるというわけではありません。
ベタ基礎は、構造上「床板」と「立ち上がり」との継ぎ目に隙間が生じやすいという難点があるのです。
一見すると隙間なく覆われているように見えますが、実際は小さな隙間が生じていることも少なくありません。
シロアリ1匹でも通れる隙間があれば、白蟻を侵入させてしまうことになり、建物への被害リスクは十分に考えられます。
シロアリが地中のどこから侵入してくるかは分かりません。
万が一、運悪くわずかな隙間を突破されてしまうと、大量のシロアリが床下に侵入してしまいます。
そのため、たとえベタ基礎であってもシロアリが発生する確率は0とはいえないのです。
ベタ基礎と布基礎のメリット・デメリット
ベタ基礎と布基礎にはそれぞれメリットとデメリットが存在します。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ベタ基礎 | ・強度に優れている ・地面からの湿気を防ぐ ・シロアリ対策効果が高い ・地盤が軟弱な場所でも建てられる | ・費用が高い ・シロアリ発生率が0ではない ・完成直後はコンクリートから水分を放出するため対策が必要 |
布基礎 | ・費用が安い ・防湿シートで湿気対策が可能 | ・強度が低い ・床下に潜りにくい ・害虫が発生しやすい |
ベタ基礎と布基礎のそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
ベタ基礎のメリットは強度が高く、耐震性に優れているということ。
これは、床下一面がコンクリートで覆われた構造によるものです。
また、コンクリートが床下と地面の間に位置していることから、地面から発せられる湿気をブロックできるという点も期待できます。
シロアリが好む「高湿度な環境」を防ぐことにつながるのです。
さらに、家を建てる際の「地盤」にも左右されにくく、地盤の弱い場所でも家を建てられるのが特徴となります。
一方、デメリットとしては費用面が挙げられるでしょう。
床下全面がコンクリートになるわけですから、その分費用が高額になりやすいのが難点。
また、地面からの湿気はブロックできるのですが、新築完成後1~2年はコンクリートから水分を放出するという特徴があります。
そのため、この期間はベタ基礎であっても湿気対策が必要となってしまうのです。
布基礎は「逆T字型」の基礎を設ける工法で、おもに地盤の強度が高い場合に用いられます。
コンクリートを床一面に敷かなくて済み、コスト面で優れているのが特徴です。
また、土の露出による湿度を防ぐため、オプションとして防湿シートを設けることができます。
従来と比較すると、布基礎であっても湿気対策がしやすくなりました。
しかし、それでもベタ基礎と比較すると防湿効果は劣りますし、シロアリを始め様々な害虫が発生しやすいのが難点です。
また、床下に潜りにくくなるため、「シロアリの点検がしにくい」「白蟻駆除がしにくい」というデメリットも挙げられます。
シロアリ対策をするならベタ基礎
上記から分かる通り、「シロアリ対策」の点でいえば布基礎よりもベタ基礎の方が優れています。
もちろん完全なシロアリ対策になるというわけではありません。
しかし、布基礎よりもベタ基礎の方がシロアリを侵入させにくいことは確かです。
地面がむき出しになった床下と、地面がコンクリートで覆われた床下では、後者の方がシロアリは侵入しにくいといえます。
このような様々な面から、新築時にシロアリ対策を考える方は、ベタ基礎を取り入れるケースが多いようです。
ベタ基礎にすれば、床下に湿気がこもりにくく、シロアリが好む環境を回避できます。
カビを防ぐことにもつながり、建物を長持ちさせやすくなるでしょう。
シロアリの侵入経路と防蟻処理
シロアリはおもに地中から床下へと侵入してくることが多いものです。
ここからは、実際の家屋でのシロアリの侵入経路と防蟻処理についてご説明致します。
ベタ基礎におけるシロアリの侵入経路
地中から床下へと侵入してくるシロアリをブロックするのがベタ基礎の特徴のひとつ。
しかし、そんなベタ基礎でもシロアリに侵入されてしまうケースは存在します。
それが、既に本記事で解説した「コンクリートの隙間」なのです。
構造上、アリ1匹も通さない基礎を作るのは難しいのが現状で、小さな隙間が一か所でも存在すればシロアリの侵入リスクが生じます。
またコンクリートの隙間の他にも、「腐食した金具付近」からシロアリが侵入してしまうことも。
ベタ基礎を設置する際に使用した金具が劣化し、腐食するとわずかに隙間が生じてしまうのです。
シロアリはそうしたごくわずかな隙間からも侵入できてしまいます。
ベタ基礎だとシロアリ対策効果は高いのですが、白蟻の侵入経路がないわけではない、と覚えておかなければなりません。
ベタ基礎でのシロアリ対策
ベタ基礎を採用しながら、さらに効果の期待できるシロアリ対策をするにはどうしたら良いのでしょうか。
おもに挙げられるのは以下の3つです。
- 土壌処理を施す
- 自立換気ができる構造にする
- 壁体内通気(外壁通気工法)を採用する
それぞれの詳細を解説します。
土壌処理
地面の表面に薬剤を散布することで、地中からのシロアリの侵入を防ぐ効果が期待できます。
しかし、およそ5年で効果が薄れてしまうため、定期的に処理を繰り返しましょう。
自立換気
自立循環型住宅といわれるもので、高性能な換気システムの導入が必要です。
建物内及び床下の換気を促す効果があり、「湿気対策」として効果が期待できます。
壁体内通気(外壁通気工法)
本来はシロアリ対策としてではなく、壁内部の湿気で木材が腐朽するのを防ぐための工法です。
壁内部に通気層を設けて外気を取り入れ、湿気は小屋裏などを通して外部へ排出します。
シロアリ対策には布基礎よりもベタ基礎が効果的
シロアリ対策を検討しているのであれば、布基礎よりもベタ基礎が効果的です。
初期費用は高額になりがちですが、将来の「駆除費用」「補修」「建て直し」などの出費を考えればかえって安くなるでしょう。
ぜひ、今回の記事を参考にしながら新築計画を立ててください。