屋根のメンテナンス時期はいつ?屋根材ごとの塗装・補修時期と劣化症状を紹介

屋根は、雨や日光が直接当たるので、家の外装の中でも劣化しやすい部分です。
そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
一般的な家の場合、最初のメンテナンスの「塗装」を10年前後で行うのが理想的です。
傷みが少ない家や、丈夫な屋根材を使用している家は、20年~30年の間で行えばよい場合もあります。
メンテナンスをするべきかどうかは、業者にしっかり点検して判断してもらうのが一番よいですが、適切な時期を知っておくことで、点検の依頼をする目安になります。
ここでは、屋根材ごとのメンテナンスに適した時期のほか、メンテナンスの方法や、メンテナンスすべき屋根の劣化症状などについて紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
屋根のメンテナンス時期

屋根のメンテナンスは、新築からおよそ7年~20年で塗り替え、15年~25年で屋根材以外の補修、25年~40年で葺き替えを行いましょう。
屋根材によって細かい時期は異なり、例えば塗り替えの時期はガルバリウム鋼板なら10~20年ですが、スレート(コロニアル)屋根は7~15年を目安に行います。
また、耐久性が高い日本瓦は、塗装のメンテナンスは不要ですが20年前後を目安に屋根材以外の補修(棟瓦や漆喰など)が必要です。
ちなみに、屋根材以外でメンテナンスが必要になるのは、「棟板金・棟瓦」「漆喰」「雨樋」などです。
- 棟板金・棟瓦
- 屋根の山になっている部分。雨や風が当たりやすく、劣化しやすい。通常スレート以外は、屋根材と同じ材質で棟を作る。
- 漆喰
- 屋根部分の瓦と棟瓦の隙間を埋めるために使われている。瓦より耐久性が低いため、劣化しやすい。
- 雨樋
- 屋根をとおって雨水を流す役割がある。詰まると雨漏りの原因になる。
メンテナンスの目安の時期が来る前に、色褪せや変形など劣化症状がみられた場合は、その都度メンテナンスが必要になります。
劣化症状ごとに必要なメンテナンスについては、「メンテナンスすべき屋根の劣化症状」で紹介していますので参考にしてください。
屋根材ごとのメンテナンス時期
屋根のメンテナンス時期を正しく把握するには、屋根材ごとに目安となる時期を確認しておくのがおすすめです。
自分の家の屋根がどの屋根材かを確認し、適切なタイミングやメンテナンス内容を知っておきましょう。
屋根材の種類 | 画像 | 最初のメンテナンス時期 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
日本瓦 | ![]() |
20年 | 50年~100年 |
セメント瓦 | ![]() |
10年 | 30年~40年 |
ガルバリウム鋼板 | ![]() |
10年 | 30年~50年 |
スレート(コロニアル) | ![]() |
7年 | 20年~30年 |
アスファルトシングル | ![]() |
10年 | 20年~30年 |
トタン | ![]() |
6年 | 10年~15年 |
※メンテナンス時期は、新築時からの年数です
ここからは、各屋根材ごとのメンテナンス内容や時期について説明していきます。
日本瓦

日本家屋で多く使われている日本瓦は、陶器でできているため塗装によるメンテナンスは必要ありません。
ただし、瓦の隙間を埋める「漆喰」や、割れたり欠けたりしやすい「棟瓦」の補修は、20年~30年を目安に行いましょう。
また、同じ瓦を一度剥がして組み直す「葺き直し」を30年~40年のタイミングで行い、瓦のズレを直したり屋根の下地を交換したりすることで、屋根を長持ちさせることができます。
台風や大雨・強風の後に瓦のズレや剥がれなどがないか必ず確認し、異変があればすぐに補修を依頼しましょう。
屋根瓦を修理する方法は?費用の相場と応急処置の方法も解説セメント瓦

セメント瓦は「洋瓦」とも呼ばれ、日本瓦より安くデザインも豊富なため70年代~80年代に流行しました。
名前の通りセメントでできているため、10年~20年に一度は塗装が必要です。
また、漆喰や棟瓦の補修は20~30年、葺き替えは20年~40年を目安に行いましょう。
現在は新規で用いられていることが少ない屋根材なので、40年~50年前に家を建てた人は既に一通りのメンテナンスは終えているはずです。
まだ一度も葺き替えを行っていない場合は、屋根や下地が傷んでいる可能性があるので、すぐに点検をして葺き替えを行いましょう。
ガルバリウム鋼板

金属屋根の代表であるガルバリウム鋼板は耐久性が高く、軽量で耐震性も高いため、近年人気が高まっています。
メンテナンスは、10年~20年で塗り替え塗装、約15年で「棟板金」の補修、20年~30年で葺き替えを目安に行いましょう。
日々のメンテナンスは、2~3か月に1度、水をかけて泥などを洗い流すのがおすすめです。
また、沿岸部にお住まいの場合は海からの潮風により錆びやすくなるので、7年が経過した頃から年に1度は屋根の点検をしてもらいましょう。
スレート(コロニアル)

スレート(コロニアル)とは、セメントを原料にした薄い板状の屋根材で、安価でデザインも豊富なため、現在最も普及しています。
耐久性はあまり高くないので、7~15年で塗装、約15年で棟板金の補修、20年~30年で葺き替えが必要です。
スレートは強風などによるズレや、気温変化による反りなどが起こりやすいため、年に1度は点検しましょう。
2004年以前に建てた家でスレートを使用している場合、アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。
アスベスト入りのスレートは耐用年数が長いため、葺き替えの目安は25年程度です。
ただし、アスベストの処理ができる業者しか施工できないうえ、処分のためにプラスの料金も発生するため、費用が高くなる傾向があります。
アスファルトシングル

アスファルトとグラスファイバーが原料の「アスファルトシングル」は、柔らかいシート状の屋根材で、複雑な形の屋根に使用される傾向があります。
耐用年数が低いため、10年程度で塗り替えと棟の補修、10~20年で葺き替えを行いましょう。
屋根材の表面についている細かい天然石が雨などによって剥がれ落ち、雨樋が詰まりやすくなるため、こまめな雨樋掃除が必要です。
また、カビやコケなどが発生しやすいので、年に1度程度確認し、必要があれば高圧洗浄を行いましょう。
トタン

物置や倉庫のほか、雪国での屋根などに使用されるトタンは、他の屋根材に比べて安価ですが極端に耐用年数が低いです。
新築から5年を過ぎたら塗り替えが必要になり、7~10年で棟板金の補修、10~15年で葺き替えの時期になります。
一枚の金属で屋根が作られていることが多いため、他の屋根材のように、強風による部分手金ズレや割れなどの心配はありません。
ただし、塗料が劣化すると錆びやすくなり、錆びた部分を放置すると穴があいて雨漏りの原因になる可能性もあります。
そのため、他の屋根材よりもこまめに塗り替えを行う必要があるのです。
メンテナンスすべき屋根の劣化症状
屋根材によりメンテナンス時期の目安はありますが、劣化症状がみられた場合は、時期に限らずメンテナンスを行いましょう。
劣化症状 | 参考画像 | 劣化しやすい屋根材 | 対策 |
---|---|---|---|
変色・色あせ | ![]() |
スレート・ガルバリウム鋼板・セメント瓦 | 塗装 |
塗装の剥がれ | ![]() |
スレート・ガルバリウム鋼板・トタン | 塗装 |
コケ・カビ | ![]() |
全て(日当たりの悪い面) | 高圧洗浄と塗装 |
釘の浮き・抜け | スレート・ガルバリウム鋼板・トタン | 釘の交換 | |
漆喰のひび・はがれ | ![]() |
日本瓦・セメント瓦 | 漆喰の補修 |
棟板金・棟瓦の剥がれ | ![]() |
全て | 劣化箇所の交換、葺き直し |
雪止めの破損 | ![]() |
全て(積雪の多い地域) | 雪止め設置 |
屋根材の変形・はがれ | ![]() |
全て | 交換・葺き替え |
屋根材のサビ | ![]() |
ガルバリウム鋼板・トタン | 交換・葺き替え |
また、屋根に負担がかかりやすい気候の地域に住んでいる場合、上記のような劣化が起きやすくなるので、気が付いたときにチェックするようにしましょう。
屋根に負担がかかりやすい気候
- 気温が極端に高いもしくは低い時期がある
- 雪がたくさん降る
- 海に近い
- 台風の被害によくあう
- 大雨・雹・灰などが降る
- 日照時間が長い
屋根のメンテナンスにかかる費用相場
屋根のメンテナンスを業者に依頼すると、内容にもよりますが、30万円~300万円ほどかかるのが相場です。
屋根の塗装には15万円~45万円、屋根棟の修理は20万円~100万円、葺き替え工事には80万円~350万円ほどかかります。
高圧洗浄や漆喰補修、雪止めや屋根材の一部の修理など簡単なメンテナンスは3万円~5万円程度でなので、他の作業とあわせて行うことがほとんどです。
メンテナンス内容 | 費用相場 |
---|---|
高圧洗浄 | 1.5万円~4.5万円 |
漆喰補修 | 3万円~80万円 |
雪止め設置 | 3万円前後 |
屋根材の一部交換 | 1万円~5万円 |
塗装 | 15万円~45万円 |
棟板金の補修・交換 | 20万円~100万円 |
葺き直し | 60万円~280万円 |
重ね葺き | 60万円~120万円 |
葺き替え | 80万円~350万円 |
※費用相場は延べ床面積30㎡の家の場合
詳しくは「屋根修理の費用相場を初心者向けに解説!安くする方法も紹介」で紹介しているので参考にしてください。
屋根のメンテナンスは、足場を組むうえ一度に複数の工事をすることが多いため高額になりがちですが、必ず業者に依頼しましょう。
一般的な住宅の屋根はどんなに低くても2m以上あるため、慣れない人が自分で作業をしようとすると、最悪の場合死亡事故に至る可能性があるからです。
また、家の寿命に関わる大切な場所なので、素人が立ち入ることで、屋根に致命的な損傷を与えることにもなりかねません。
屋根のメンテナンスの負担を軽くする方法
どんなに耐久性が高い屋根材を使用していても、定期的なメンテナンスは必ずしなければいけません。
「メンテナンスフリー」とうたっている屋根材はいくつかありますが、板金や漆喰、雨樋など、屋根材以外の部分にはメンテナンスが必要だからです。
しかし、屋根のメンテナンスは気軽にできるものではないので、できるだけ回数やかかる金額を減らしたいですね。
メンテナンスの回数を減らすためには、屋根材だけでなく塗料や板金といった細かい部分も、耐久性の高い製品を選びましょう。
耐久性が高い製品は高額になりがちですが、メンテナンスまでの期間が延びるので、長い目でみればお得になるはずです。
また、費用を減らすためには、できるだけ一度に工事を済ませることが大切です。
複数の工事を同時に行うことで、「足場」の費用を抑えることができます。
まとめ
屋根のメンテナンスは、屋根材やメンテナンス内容に合わせて、適切な時期に行いましょう。
屋根材の種類 | 塗装 | 屋根棟の補修 | 漆喰の補修 | 葺き替え(葺き直し) |
---|---|---|---|---|
瓦 | - | 20年~30年 | 20年前後 | 30年~60年 |
セメント瓦 | 10年~20年 | 20年前後 | 20年前後 | 20年~30年 |
ガルバリウム鋼板 | 10年~20年 | 15年前後 | - | 30年~40年 |
スレート | 7年~15年 | 15年前後 | - | 20年~30年 |
アスファルト | 10年前後 | 10年前後 | - | 10年~20年 |
トタン | 6年~10年 | 7年~10年 | - | 10年~15年 |
メンテナンス時期がまだでも、屋根の劣化症状を見つけたらすぐにメンテナンスを行うことが大切です。
屋根の見た目に変化があった場合はと塗装、屋根材の変形や剥がれなどそのものに変化があった場合は葺き替えを行います。
屋根材そのものに劣化がみられなくても、棟板金・棟瓦や漆喰などにひび割れ・ズレなどがある場合は、屋根全体が傷んでいる可能性があります。
メンテナンスにかかる費用は、仮設足場を組むため最低でも20万円はかかります。
塗装は15~45万円、葺き替えは80万~350万円、簡単なメンテナンスなら3~5万円程度が相場です。
費用の中でも「足場」の金額はやや高いように見えますが、値切ったり足場無しで施工させようとすると、工事の質が落ちるうえ、事故が発生する可能性も高まるので、絶対にしないようにしましょう。