住宅リフォームの補助金制度とは?補助金の種類や優遇制度について解説

住宅リフォームを行うなら、できるだけ安く済ませたいですよね。
通常は高額な費用がかかることの多い住宅リフォームですが、補助金や税制に関する優遇制度を活用して費用負担を抑えることができます。
補助金や税制優遇に関する主な制度としては、次の4つが挙げられます。
- 補助金制度
- 減税制度
- 税金に関する特例制度
- その他の優遇制度
この記事では、この4つの補助金制度についてわかりやすく解説するとともに、申請方法も説明します。
補助金制度を上手に活用するために、制度の概要や利用時のポイントを知っておきましょう。
住宅リフォームには4つの補助金制度がある

住宅リフォームの補助金についての代表的な制度には、次の4つがあります。
- バリアフリーリフォームの補助金
- 耐震補強リフォームの補助金
- 省エネリフォームの補助金
- 一般のリフォーム工事の補助金
これらは国や自治体が実施している制度ですが、どのような制度があるのかを知り、どういった補助金を利用できそうか確認しておきましょう。
バリアフリーリフォームの補助金制度
要支援や要介護の認定を受けた人の住宅で、バリアフリー化を目指すためのリフォームなら、「バリアフリーリフォーム」の補助金制度が利用できます。
助成金額 | 支給要件 | |
---|---|---|
介護保険からの補助金 |
工事費用の9割 (最高18万円まで) |
要介護認定で「要支援・要介護」 |
自治体からの補助金 |
各市町村で異なる ※東京渋谷区の場合 工事費用の2割 (最高10万円まで) |
各市区町村で異なる ※渋谷区の場合は、渋谷区に住民登録をされている個人 |
補助金は、介護保険と自治体の2つがあり、介護保険からの助成金額や支給要件は、全国で共通しています。
自治体からの補助金は地域によって異なるため、その都度確認する必要があります。
耐震補強リフォームの補助金制度
自宅の耐震性能を向上するリフォームでは、「耐震補強リフォーム」の補助金制度が活用できます。
助成金額 | 支給要件 | |
---|---|---|
自治体からの補助金 |
市区町村によって異なる ※東京渋谷区の場合 ・一般改修 工事費用の2分の1 (最高100万円まで) ・簡易改修 工事費用の2分の1 (最高60万円まで) |
各市区町村によって異なる ※東京渋谷区の場合 ・昭和56年5月31日以前に建築工事に着手した建築物であること ・区の無料耐震診断(耐震診断)コンサルタントから認定を受けた物件など |
耐震補強リフォームに関しても、自治体によって支給される金額や要件が異なるため、事前に確認が必要です。
耐震診断を受けなければならないことも多く、現時点での自宅の安全性を確かめる意味でも、一度やっておくとよいでしょう。
省エネリフォームの補助金制度
太陽光発電システムの設置といった、省エネ推進のリフォームでも、補助金は受けられます。
助成金額 | 支給要件 | |
---|---|---|
自治体からの補助金 |
工事費の一定割合を支給 ※東京都の場合 ・家庭用燃料電池(エネファーム)の場合:機器費の5分の1 (1台当たり上限額は、戸建住宅10万円、集合住宅15万円) ・太陽熱利用システムの場合:機器費・工事費の3分の1 (1戸当たりの上限額は、次の①②いずれかの小さい額) ①1平方メートル当たり6万円に集熱器の面積(平方メートルを単位とし小数点以下第3位を四捨五入)を乗じて得た額 ②戸建住宅24万円、集合住宅15万円 |
市区町村によって異なる ※東京都の場合 都内の住宅において新規に設置される助成対象機器(未使用品)の所有者 助成対象機器の指定有り |
設置する機器や利用するシステムは、自治体ごとに定められているため、どれを利用すべきかは確認しておかなければなりません。
一般のリフォーム工事の補助金制度
自治体によって異なりますが、上記のケースに当てはまらない一般リフォームの場合でも、補助金制度が活用できることがあります。
助成金額 | 支給要件 | |
---|---|---|
自治体からの補助金 | 5万円から10万円程度 | 地元の業者に依頼する場合 |
基本的には、その地域の業者に依頼することが条件になっているケースが多く、地域振興の一環としての制度ともいえるでしょう。
住宅リフォームで受けられる減税制度

補助金のように、直接的に資金がもらえるわけではありませんが、減税制度を活用することでも、金銭的なメリットが得られることは確かです。
- バリアフリーリフォームの所得税減税制度
- 耐震補強リフォームの所得税減税制度
- 省エネリフォームの所得税減税制度
- 同居対応のリフォームの所得税減税制度
- リフォーム等をした場合の住宅ローンの所得税減税制度
代表的なものとして、所得税や固定資産税の減税制度をご紹介します。
バリアフリーリフォームの減税制度
自宅のバリアフリー化を図るリフォームでは、補助金だけではなく減税制度も活用できます。
最大控除額 | 条件 | |
---|---|---|
所得税 |
25万円 (投資型) |
【住宅等の要件】 次の①~④のいずれかの者が自ら居住する住宅であること ①50歳以上の者 ②要介護又は要支援の認定を受けている者 ③障がい者 ④65歳以上の親族又は②もしくは③に該当する親族のいずれかと同居している者 床面積の2分の1以上が居住用であること 改修工事完了から6ヶ月以内に入居すること 改修工事後の床面積が50平方メートル以上であること など 【対象となる工事】 次の①~⑧のいずれかに該当するバリアフリー改修工事であること ①通路等の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良 ⑤手すりの取付け ⑥段差の解消 ⑦出入り口の戸の改良 ⑧滑りにくい床材料への取替え バリアフリー改修の標準的な工事費用相当額から補助金等を控除した額が50万円超であること 居住部分の工事費が全体の費用の2分の1以上であること。 |
固定資産税 |
固定資産税額の3分の1を減額 (工事完了年の翌年度分) |
【住宅等の要件】 新築された日から10年以上を経過した住宅であること(賃貸住宅を除く) 床面積の2分の1以上が居住用であること 改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること 次の①~③のいずれかの者が、居住する住宅であること ①65歳以上の者 ②要介護又は要支援の認定を受けている者 ③障がい者 など 【対象となる工事】 工事が次の①~⑧のいずれかに該当するバリアフリー改修工事であること ①通路等の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良 ⑤手すりの取付け ⑥段差の解消 ⑦出入り口の戸の改良 ⑧滑りにくい床材料への取替え 対象となるバリアフリー改修工事費用から補助金等(☆)を控除した額が50万円超であること など |
所得税と固定資産税で減税の額は違いそれぞれで適用の要件も異なるため、細部まで確認しておきましょう。
耐震リフォームの減税制度
耐震制度を高めるリフォームでも、所得税と固定資産税の両方の減税が適用できます。
最大控除額 | 条件 | |
---|---|---|
所得税 |
20万円 (投資型) 25万円 (ローン型) |
・住宅が自ら居住する住宅であること ・住宅が昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること(改修工事前は現行の耐震基準に適合していないこと) ・工事が現行の耐震基準に適合させるための工事であること |
固定資産税 |
固定資産税額の2分の1を減額 (工事完了年の翌年度分) |
・住宅が昭和57年1月1日以前から建っている住宅であること ・工事が現行の耐震基準に適合させるための工事であること ・耐震改修に係る費用が50万円超であること" |
所得税控除は投資型とローン型があり、どちらを選ぶかによって最大控除額は異なります。
「耐震基準を満たすための工事であること」が前提条件のため、古い住宅で現行の耐震基準を満たしていない物件のみ、制度が利用可能です。
省エネリフォームの減税制度
窓の断熱工事を行うことで、省エネの減税制度も利用可能です。
最大控除額 | 条件 | |
---|---|---|
所得税 |
35万円 (投資型) 25万円 (ローン型) |
【住宅等の要件】 自ら所有し、居住する住宅であること 床面積の2分の1以上が居住用であること 改修工事完了から6ヶ月以内に入居すること 改修工事後の床面積が50平方メートル以上であること など 【対象となる工事】 工事が次に該当する省エネ改修工事であること 以下の①の改修工事または①とあわせて行う②、③、④の改修工事のいずれか(①の改修工事は必須) ①全ての居室の窓全部の断熱工事 ②(床の断熱工事 天井の断熱工事 壁の断熱工事) ③太陽光発電設備設置工事 ④(高効率空調機設置工事 高効率給湯器設置工事 太陽熱利用システム設置工事) 省エネ改修部位がいずれも平成28年省エネ基準相当に新たに適合すること 省エネ改修の標準的な工事費から補助金等(☆)を控除した額が50万円超であること(③、④を含む) 居住部位の工事費が改修工事全体の2分の1以上であること など |
固定資産税 |
固定資産税額の3分の1 (工事完了年の翌年度分) |
【住宅等の要件】 住宅が平成20年1月1日以前から建っている住宅であること(賃貸住宅を除く) 床面積の2分の1以上が居住用であること 改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること など 【対象となる工事】 下の①の改修工事または①とあわせて行う②の改修工事のいずれか(①は必須) ①窓の改修工事(全ての居室の全ての窓でなくてもよい) ②床の断熱工事/天井の断熱工事/壁の断熱工事 改修部位がいずれも平成28年省エネ基準相当に新たに適合すること 対象となる改修工事費用から補助金等(☆)を控除した額が50万円超であること など |
所得税の控除は、居室の窓全ての断熱工事が必要ですが、それ以外の部分は3つの選択肢から選ぶことができます。
所得税と固定資産税で要件が異なるため、両方を満たす工事を行うとよいでしょう。
同居対応リフォームの減税制度
同居対応、つまり三世代以上が同居できるように自宅を拡張するリフォームの場合は、減税制度が適用できます。
最大控除額 | 条件 | |
---|---|---|
同居対応リフォーム |
25万円 (投資型) 25万円 (ローン型) |
【住宅等の要件】 ・自ら居住する住宅であること ・床面積の2分の1以上が居住用であること ・改修工事完了から6ヶ月以内に入居すること ・改修工事後の床面積が50㎡以上であること など 【対象となる工事】 次の①~④のいずれかに該当する同居対応改修工事であること ①調理室を増設する工事(ミニキッチンでも可。 ただし、改修後の住宅にミニキッチン以外の調理室がある場合に限ります。) ②浴室を増設する工事(浴槽がないシャワー専用の浴室でも可。 ただし、改修後の住宅に浴槽を有する浴室がある場合に限ります。) ③便所を増設する工事 ④玄関を増設する工事 改修後、居住の用に供する部分に、調理室、浴室、便所又は玄関のうち、いずれか二以上の室がそれぞれ複数あること。(以下のイメージ図参照) 対象となる同居対応改修の標準的な工事費用相当額から補助金等を控除した額が50万円超であること など |
投資型とローン型は、それぞれ控除額が25万円ですが、投資型は1年でローン型は5年と、控除期間が異なります。
リフォーム等をした場合の住宅ローンの所得税減税制度
住宅ローンを利用したリフォームだと、年間40万円の控除が10年受けられ、最大400万の所得税控除が受けられます。
最大控除額 | 条件 | |
---|---|---|
リフォーム等をした場合の住宅ローン | 400万円 | ほぼ全ての住宅が対象 |
なお、消費税率の10%への増税分の還元として、控除期間が3年間拡充されて13年になりました。
これによって増税分の税率も還元される仕組みです。
13年の控除が受けられるのは、増税後に住宅を取得、あるいはリフォームをして、令和2年の12月31日までに住み始めた場合です。
住宅リフォームの税金に関する特例制度

所得税と固定資産税以外では、贈与税や登録免許税、不動産取得税などの税制優遇の特例制度が設けられています。
制度 | 軽減概要 | 支給要件 |
---|---|---|
贈与税 住宅取得等資金に係る非課税措置 |
軽減相当額140万円 (700万円×20%、平成28年1月~31年3月契約、相続時精算課税選択時) |
自己居住のための住宅を取得・増改築するための資金として贈与を受けた場合 |
買取再販住宅の登録免許税の税率軽減 |
所有権移転登記 税率2.0%→0.1% |
宅建業者により一定の性能向上リフォーム等が行われた中古住宅を取得した場合 |
買取再販住宅の不動産取得税の特例措置 |
軽減相当額 最大36万円 (1,200万円×3%) |
宅地建物取引業者が中古住宅を取得し、一定の性能向上リフォームを行った後、個人の自己居住用住宅として譲渡する場合 |
それぞれ軽減概要や要件は異なりますが、基本的には居住用として自宅を購入、リフォームすることが条件となってます。
耐震や省エネといった特定の工事は不要なため、一般リフォームや中古住宅の購入などでも適用可能です。
住宅リフォームのその他の優遇制度

バリアフリー化を目指すリフォームや耐震改修、中古住宅のリノベーションなどによっても、特例的な優遇制度が活用できます。
制度 | 助成金額 | 支給要件 |
---|---|---|
自治体からの補助金 | 最大18万円(工事費用20万円の9割まで支給) |
・ 要介護認定で「要支援・要介護」と認定されていること ・ 改修する住宅の住所が被保険者証の住所と同一で、本人が実際に居住していること ・ 一定の介護リフォーム工事を行うこと |
地震保険料の優遇制度 | 保険料最大30%割引 |
・保険期間の開始日により適用できる割引が異なる ・原則として確認資料が必要 ※確認書類を提出した日以降の未経過期間に対して適用される |
フラット35リノベの金利優遇制度 | 年0.5%の金利を引下げ(最大10年間) | ・中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う、もしくは、住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合 |
補助金はもちろん、保険料の割引や金利の引き下げまで幅広く金銭的なメリットが受けられるため、適用できるものはないかチェックしておきましょう。
補助金の支給を申請する手順

実際に、補助金や税制優遇などの制度を利用するためには、国や自治体に申請をしなければなりません。
申請の手順は次の通りです。
- 補助金について調べる
- 業者に相談・見積もりを依頼する
- 申請に必要な書類を揃える
- 工事前に申請書を提出する
- 申請が確定後に業者と契約を結ぶ
- 工事をして完了後に自治体が確認を行う
- 補助金を受け取る
要件を満たしていても、事前に申請していない場合は優遇を受けられません。
1. 補助金について調べる
まずは、受給できる補助金や適用できる制度がないか、調べてみましょう。
補助金やその他の制度は、国全体で実施されているものだけでなく、自治体ごとに行われているものが多いです。
そのため、調べる際には次の2つの方法を用いましょう。
- 市区町村のホームページや担当窓口で確認する
- 地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイトを利用する
基本的には、居住している地域の自治体が実施している制度しか利用できないため、住んでいる地域に合わせて調べる必要があります。
地方公共団体が実施している制度は、支援制度を検索できるサイトを利用するとよいでしょう。
参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
2. 業者に相談・見積もりを依頼する
適用できる補助金制度を見つけたら、施工業者に相談して見積もりを出してもらいます。
見積もりの金額によって、支給される金額や控除される税額が変わることもあるため、事前の見積もりは必須です。
また、業者によっては制度に詳しいところもあり、補助金を利用したいことを最初に伝えておくと、その後の流れを説明してもらえることもあります。
スムーズに制度を利用するためにも、最初に補助金を受けたいことを業者に伝えておきましょう。
3. 申請に必要な書類を揃える
見積もりを出してもらったら、自治体に補助金の申請を行います。
申請時に用意する書類は、利用する制度によって異なりますが、次のものが必要になることが多いです。
- 補助金の申請書
- リフォームする家の図面
- 見積書・契約書の写し
- 身分証明書
- 施工前・施工中・施工後の写真
- 工事確認完了書(完了実績報告書)
必要書類は制度ごとに確認し、抜けや漏れがないように準備する必要があります。
補助金の申請書は、各市町村役場でもらうか、自治体のホームページから印刷して入手しましょう。
4. 工事前に申請書を提出する
必要な書類を揃えたあとは、工事を行う前に申請書を提出しなければなりません。
工事を始めてから書類を提出すると、その時点で補助金が受けられなくなることがあるため気を付けましょう。
また、申請書の提出は自分で行うだけでなく、施工業者に代行してもらうことも可能です。
5. 補助金交付が決定したら業者と契約を結ぶ
申請を行い、補助金の交付が決定した時点で業者と正式に契約を結び、工事を始めてもらいましょう。
補助金は、申請するだけで誰でも利用できるわけではなく、承認されるためには審査に受からなければなりません。
見切り発車で工事を始めると、審査に落ちて補助金を利用しての工事ができないこともあることは、覚えておきましょう。
6. 工事を行い完了後に自治体が確認する
工事を開始したあともやるべきことがあり、施工前と施工中、施工後の写真をそれぞれ撮影しておく必要があります。
これらは補助金の確定に必要なため、業者に依頼して撮影してもらいましょう。
また、工事が完了したら完了報告書を自治体に提出して、調査員を派遣してもらいます。
自治体からの調査を受け、確認が取れたところで補助金の支給が確定になります。
7. 補助金を受け取る
補助金は、自治体から調査員が来てすぐに支給されるわけではなく、支給確定後から1~2カ月ほどかかることがほとんどです。
申請してから、補助金を受け取るまでには数カ月以上かかり、工事期間が長いほど、受け取りまでの期間が伸びることは理解しておきましょう。
補助金の受け取りの方法は、事前に確認する必要があり、どのような方法で還元されるのかをチェックしておかなければなりません。
まとめ
このページでは、住宅リフォームの補助金や優遇制度について解説しました。
住宅リフォームは、補助金や税制優遇などの制度を活用して費用の負担を軽減することができます。
そのためには、どの制度が適用されるかを念入りに確認する必要があります。
利用できる制度を積極的に利用しながら、少しでもお得に住宅リフォームを行いましょう。
また、リフォーム費用を抑えるには、補助金を活用する以外にも、金利の低い「住宅ローン」を利用する方法もあります。
下記で住宅ローンをリフォームに適用するメリット・デメリットが紹介されているので、補助金制度と合わせて検討してみてください。
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