断熱窓ガラスの種類と効果

断熱ガラスとは、文字通り熱を通しにくいガラスです。
窓ガラスを断熱ガラスにリフォームすることで、冬は暖かく夏は涼しい、快適な温度を保ちやすくなります。
そのため、新築を建てるときやリフォームを行うときに、断熱ガラスを選ぶ人が増えています。
しかし、断熱ガラスには様々な種類があり、得られる効果も違います。
また、設置する部屋や目的に適したものを選ばないと、断熱ガラスの効果を得られないこともあります。
そこで、ここでは断熱ガラスの種類と効果について紹介していきます。
断熱ガラスを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

断熱ガラスの種類
断熱ガラスは、ガラスのLow-E膜の有無によって、大きく4つの種類があります。
断熱ガラスの種類 | ガラスの枚数 | 遮熱効果 |
---|---|---|
ペアガラス | 2枚 | なし |
Low-E複層ガラス | 2枚 | あり |
トリプルガラス | 3枚 | なし |
Low-Eトリプルガラス | 3枚 | あり |
ペアガラスは普通の窓ガラスに使用されるガラスを2枚重ねたものです。
一般的に、「断熱ガラス」というとペアガラスのことを指すことが多いです。
断熱ガラスの中では一番シンプルな種類なので、安く取り付けることができます。
Low-E複層ガラスとは、2枚のガラスのうち1枚に、Low-E膜をコーティングしたものです。
Low-E膜とは特殊な金属膜のことで、遮熱効果があります。
通常のガラスより値段は高くなります。
トリプルガラスは、通常のガラスを3枚重ねたものです。
北海道や東北など寒冷地では、断熱効果の高いトリプルガラスは人気があります。
ただし、ガラスを3枚使っているのでペアガラスよりも費用は高くなります。
Low-Eトリプルガラスは、3枚のガラスのうち1枚~2枚にLow-E膜がコーティングしてあるガラスです。
ガラスが3枚あるうえにLow-E加工がしてあるため、断熱効果にも遮熱効果にも優れています。
ただし、4つの種類の中では1番費用が高くなります。
断熱ガラスの効果
一般的な断熱ガラスの効果は3つあります。
- 室外の温度の影響を、室内に受けにくくする
- 遮音効果を高める
- 防犯効果を高める
通常の窓の場合、窓から伝わってくる外気温の影響で、暖房や冷房をつけていても部屋の温度を適温に保ちにくくなります。
一方、断熱ガラスを使用することで、外の気温が室内に影響しにくくなり、少ない電力で室内の気温を変えることができ、節電やエコにつながります。
また、複数のガラスの間には空気やガスの層があるため、結露が起きにくいというメリットもあります。
さらに、断熱ガラスは複数のガラスを使用しているので、遮音効果や防犯効果も期待できます。
高速道路や線路の近くに住んでいる人でも、騒音を気にせず過ごすことが可能です。
室内の音を外に漏れにくくすることもできるため、楽器などを楽しみたい方にもおすすめです。
遮熱ガラスの効果
遮熱ガラスとは、Low-eコーティングがされたガラスのことです。
複数あるガラスのうち、どのガラスにLow-e膜があるかで、遮熱の効果が変わります。
Low-e膜のあるガラスの位置 | 効果 | おすすめの場所 |
---|---|---|
屋外側 | 直射日光の熱が室内に入りにくい | 東・西向きの窓 |
屋内側 | 屋内の熱が外に逃げにくい | 南向きの窓 |
屋外側の内側にLow-e膜がある遮熱ガラスの場合、日光の熱はLow-eガラスで低減されてから空気の層に届きます。
そのため、朝日や西日が直接室内に入ってしまう東側もしくは西側の部屋におすすめです。
一方で、南向きの窓に使用すると、冬場に日光の暖かさを取り入れることができなくなり、逆効果になってしまいます。
屋内側にLow-e膜がある遮熱ガラスは、屋外側にある場合と比べて、日光の熱を取り入れやすくなっています。
そのため、「室内の気温は逃がしたくないものの、屋外の暖かさは取り入れたい」という南側の窓に使うのがおすすめです。
断熱ガラスの効果を高める方法
断熱ガラスを使えば、通常の窓ガラスを使用しているときよりも、部屋の断熱性は上がります。
しかし、窓ガラスを断熱ガラスに変えただけでは、十分な断熱効果が得られない可能性もあるのです。
断熱ガラスの効果を最大限活かすためには、次のような方法がおすすめです。
- 窓サッシを「アルミ」以外に変える
- 中間層にはガスを入れる
- 内窓(二重窓)を取り付ける
ここからは、それぞれの方法について詳しく紹介していきます。
窓サッシをアルミ以外に変える
一般的な窓サッシは「アルミ製」ですが、アルミは熱伝導率が高く、外の空気をそのまま室内に伝えてしまいます。
そのため、窓ガラスを断熱性にしていても、サッシ部分だけ結露をしたり、熱を持ったりといったことが起きてしまうのです。
断熱ガラスの効果を最大限に発揮するためには、熱伝導率の低い「木製」や「樹脂製」のサッシに変えるのがおすすめです。
ただし、窓ガラスに加えてサッシのリフォームも行えば、当然費用は高くなります。
少しでも費用を抑えたい人は、窓枠だけでも樹脂製のものに変えるという方法もありますので、リフォーム業者や工務店に相談してみましょう。
中間層にガスを入れる
通常の断熱ガラスの場合、中間層(ガラスとガラスの間)には乾燥させた空気と乾燥材が入っています。
お手入れができない中間層で結露などが起きたりしないようにするためです。
中間層には、乾燥空気のほかに、「アルゴンガス」「クリプトンガス」などといった「不活性ガス」を封入することもできます。
不活性ガスとは、化学反応や変化を起こしにくいガスのことで、断熱ガラスに封入すると断熱効果を高めることができるのです。
また、ガスも空気も何も入れない「真空ガラス」という製品もあります。
真空ガラスは不活性ガスや乾燥空気を入れたときよりも、断熱効果がさらに高くなります。
内窓(二重窓)を取り付ける
窓のリフォームは、ガラスやサッシを丸ごと取り換える方法のほかに、「カバー工法」と呼ばれる方法があります。
カバー工法は、元々ある窓の内側に別の窓を取り付ける方法です。
新しく取り付けた窓は「内窓」「二重窓」などと呼ばれます。
リフォーム費用を抑えたい人が選ぶことが多い方法で、施工時間が短く済むというメリットもあります。
窓が2枚あるということで、断熱ガラスや断熱サッシを使用したときと同じような効果を得ることができます。
カバー工法については「窓・サッシのリフォーム費用相場!工事内容・事例別に解説します」で紹介していますので、参考にしてください。
断熱ガラスまとめ
断熱ガラスを使用することで、夏は涼しく冬は暖かいという、過ごしやすい室内の温度を保ちやすくなります。
また、室内の気温が外気温に影響されにくくなるため、冷暖房費が抑えられるというメリットもあります。
ガラスだけでなくサッシや中間層のガスを工夫することによって、さらに断熱効果を高めることもできます。
しかし、断熱ガラスの種類と設置する場所によって、求めていた効果が得られないばかりか、逆効果になってしまう可能性があるので、この記事で紹介した内容に注意してください。
